改正育児介護休業法について

改正育児介護休業法のポイント及びハラスメント防止措置について

社会保険労務士会の研修会に参加しました。

 

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」を改正する法律が平成29年3月31日に成立し、同日公布、平成29年10月1日から施行されます。

 

 この改正は、保育所などに入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぎ、育児をしながら働く男女労働者が育児休業などを取得しやすい就業環境の整備等をさらにすすめていくことを目的としています。

 

具体的な改正内容は

  1. 育児休業期間の延長
  2. 育児休業等制度の個別周知(努力規定)
  3. 育児目的休暇の新設(努力規定)

 1.育児休業期間の延長について

<これまでの内容>

 育児休業期間は原則として子が1歳に達するまで、保育所に入れない等の場合に例外的に子が1歳6か月に達するまで延長できる。

 

<課 題>

 保育所の入所が一般的に年度初めであることを踏まえると、1歳6か月の延長の場合、保育所に預けずらい期間に育児休業期間が終わることがある。

 

<改正内容>

 1歳6か月に達した時点で、保育所に入れない等の場合に再度申出することにより、育児休業期間を最長2歳まで延長できる。育児休業給付の支給期間もこれに合わせて延長する。

 

 この改正により、多少は保育所などに入所できないことによる退職の軽減を図ることができるとは思います。ただ保育施設の数自体が少ない地域や勤務先の理解がないなどの問題は残ります。

 

2.育児休業等制度の個別周知

<改正の趣旨>

 育児休業の取得を希望しているのに、職場が育児休業を取得しづらい雰囲気であることを理由に、育児休業の取得を断念することがないよう、事業主は対象者に育児休業取得の周知・勧奨するための規定を整備する。

 

<改正内容>

 事業主は、労働者やその配偶者が妊娠・出産した場合や家族を介護していることを知った場合に当該労働者に対して、個別に育児休業・介護休業等に関する定めを周知するように努めることが規定

 

 この規定は努力規定であり、これまで職場が育児休業を取得しづらい雰囲気であったとしたらなかなかこの規定を導入して適正に運用されることは期待できないのではないかと思います。

 このような規定の意味・意義を社労士として事業主に説明し、それがその企業にとってもプラスとなることを伝えていくことが大事だと思いました。

 

3.育児目的休暇の新設

<改正の趣旨>

 特に男性の育児参加を促進するために、就学前までの子どもを有する労働者が育児にも使える休暇を新設する。

 

<改正内容>

 事業主に対し、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、育児に関する目的で利用できる休暇制度の措置を設けることに努めることを義務付ける。

 例.配偶者出産休暇、多目的休暇(入園式などの行事参加など)

 

 現状は子の看護休暇があるが、負傷・疾病などの事情がないと利用できない。また、配偶者の妊娠や出産に際し、男性が取得した休暇・休業制度をみると有給休暇を活用しているケースが多く育児目的の休暇は高いニーズがあるそうです。

 このような制度が活用されてくることで、少しづつ男性の育児参加の必要性の認識が高まってくれば安心して出産・育児ができる社会に近づくのではと思います。

 

 今回の改正に関して、社会に周知していく努力を社労士として行っていくことが大切だと思いました。また、企業にとっても、このような改正を機会に就業規則の見直し、整備を行うことが必要なのではと思います。社労士としてお役に立つことが出来ればと思います。