私は石川県金沢市で行政書士や社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーとして主に福祉関連の仕事をしています。
終活介護ケアプランセンターを開設して、ケアマネージャーとしてケアプランの作成などもしています。
最近は、高齢化が進んでおり、高齢者夫婦のみのご家庭や、一人暮らしの高齢者が増えていると感じています。
高齢のご両親が突然病気になったりして、延命治療をするかどうかをご家族が決断しなければいけない場面があると思います。
そのような時に尊厳死宣言公正証書などをご両親が書いて、事前に相談などを受けていたら、ご両親の意向に沿って対応が可能になると思います。
★高齢化の進展と医療技術の進歩
高齢化の進展により、我が国において高齢者は増えています。
医療技術の進歩により平均寿命も長くなってきています。
最近は『人生100年時代』という言葉を聞くことが増えてきました。ただ寿命が伸びているといっても、いつまでも健康でいられるかというとそうではないのではないでしょうか?
突然の疾病や認知症などにより、介護が必要になる高齢者が増えてくることは仕方のない状況だと思います。
元気なうちから、終末期にどのように最期を迎えるかについて考えている方も増えてきているのではないでしょうか?
平成27年版高齢社会白書によると、延命治療は行わず「自然にまかせてほしい」と回答した人の割合は91.1%と9割を超えているようです。
★延命治療とリビングウィル
終末期に延命治療を行うかどうかについて悩まれる方やご家族は多いのではないでしょうか?
『少しでも長生きしていたい(長生きしてほしい)』『家族に迷惑はかけたくない』『医療費の負担が心配』などいろいろな事を考えられるのではないでしょうか?
延命治療とは・・・
快復の見込みがなく死期の迫った患者に、人工呼吸器や心肺蘇生装置を着けたり点滴で栄養補給をしたりなどして生命を維持するだけの治療【デジタル大辞泉より】
このような延命治療に対して、生前に行われる『自分の命が不治で末期の状態なら延命治療をしないで欲しい』などの意思表示を元気なうちに記しておくことをリビングウィルといいます。
延命治療を希望しない場合にどうするか?
このように回復の見込みのない終末期において延命治療を行わないという本人の意思表示を、元気で意思能力のあるうちに行う方法として尊厳死宣言公正証書や日本尊厳死協会が発行するリビング・ウイル(終末期医療における事前指示書)があります。
今回は尊厳死宣言公正証書についてご紹介します。
『尊厳死宣言公正証書』とは、日本公証人連合会のホームページによると嘱託人が自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にするものです。となっています。
わかりやすくいうと法律のプロである公証人が記載内容について法令違反がないかや、作成者の身元・意思などを確認して作成する文書なので証明力があり、信頼性や安全性の高い尊厳死宣言文書と言えます。
記載する内容としては、以下のような内容が考えられます。
①病状が不治かつ死期が迫っている状態になった場合には、延命治療を拒否すること
②家族も尊厳死について同意をしていること
③尊厳死を容認した家族や意思に対して、刑事上、民事上の責任を求めないこと
④苦痛の緩和に関する処置は行ってほしいこと
⑤精神が健全な状態にあるときに本人が撤回しない限り、その効力は有効であること
内容については、公証役場で公証人と相談して決めることもできます。
ただし、尊厳死宣言公正証書を作成したとしても、必ず尊厳死が実現できるとは限りません。
現在尊厳死に関する法的な整備はなされておらず、法的に有効なものとは言えないからです。もっとも、医療の現場では尊厳死宣言公正証書などを提示することで9割程度の医師は尊厳死を許容しているようです。
尊厳死宣言公正証書を作成するにはどうすればよいか
尊厳死宣言書は公証役場で作成することができます。
☆必要書類
作成に必要な書類は以下の書類が必要になります。
①印鑑登録証明書(公正証書作成の日から3か月以内に発行されたもの)及び実印
②運転免許証及び認印
③パスポート及び認印
④住民基本台帳カード(写真付き)及び認印
⑤その他顔写真入りの公的機関発行の証明書及び認印
上記①~⑤までのうちいずれか1つ
※詳細はお近くの公証役場で事前にご確認ください。
☆公証人手数料
基本手数料:11,000円
正本代:約750円(正本1枚につき250円かかります。署名用紙1枚含めて正本3枚なら750円になります。)
尊厳死宣言公正証書を作成した後は、信頼できる人や家族に自分の意思を伝えて、尊厳死宣言公正証書を渡しておくことも大切です。
尊厳死を迎える状況になる前に、事前に担当の医師や主治医に尊厳死宣言公正証書を示す必要があるためです。
そのような状況になった時に、家族間で争いがおこらないように、きちんとご家族にも自分の意思を伝えておく事も必要です。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは
尊厳死宣言公正証書は、作成時点の本人の意思・意向です。
本人の意思は時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等、状況に応じて変化しうるものです。
本人の意思が確認できる場合は、終末期に本人のケアに携わる医療者、ケア担当者、ご家族が本人の意思を確認しあうことで本人の意向を理解して対応することが必要です。
それによって、本人がどのように考えているのか?その背景などについて深く理解することが出来るようになります。
このように、症状が安定している時期に将来の状態変化に備えて、本人・家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養、ケアの方法を話し合うプロセスを『アドバンス・ケア・プランニング』といいます。
尊厳死宣言公正証書は、その文書を作成した時の本人の意思・意向です。
その内容をもとに、実際に終末期を迎えたときには、医療や介護に携わるケアチームがその時々の状況に合わせてよく話し合いを行いながら本人の支援を行うことが求められています。
終末期、自分がどのような状態にあるかはわかりません。
自分の意思を伝えることができない状況も考えられます。
そのような場合でも、事前に尊厳死宣言公正証書などを作成しておくことによって、自分の意思をご家族や医師等に知ってもらうことが可能になります。
延命治療に関しては、本人の意向の確認が出来ない場合にはご家族はどうしたらよいか悩むことなるでしょう。
もし終末期には延命治療をしないで欲しいと思っているなら、早めの備えとして、尊厳死宣言公正証書を検討してみてもよいかもしれません。
そのような時には、介護の現場を経験し、行政書士として書類の作成なども対応ができる、当事務所に一度ご相談いただければと思います。