介護保険の高額介護サービス費の改定について

1.介護保険の概要

 介護保険には40歳以上の方が加入して介護保険料を負担しています。

介護保険の給付を受けることが出来るのは・・・

 

①第1号被保険者(65歳以上の人)

介護や日常生活の支援を必要としている要支援・要介護認定を受けた人

②第2号被保険者

介護保険の対象となる特定疾病により介護や日常生活の支援を必要とし、市区町村の要支援・要介護認定を受けた人(特定疾病の原因が加齢に伴って生ずるもの以外の場合は対象外)

 

介護サービス利用時に負担する額は、65歳以上の加入者はサービス費の1割または2割、40歳から64歳の加入者はサービス費の1割です。

支給限度額を超えて利用した部分は全額自己負担となります。

 

2.高額介護サービス費の改定

高額介護サービス費とは・・・

介護サービス利用時に利用者は自己負担として1割または2割を負担します。

支払う金額には月額上限額が設けられ、超えた分が払い戻される制度です。

※高額介護サービス費は、初回は市区町村に申請が必要ですが、2回目からは該当すれば原則として自動的に払い戻される。

 

平成29年8月から下記表の網掛け部分の上限額が改定されています。

高額介護サービス費
高額介護サービス費

※世帯とは、住民基本台帳上の世帯員で介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額

※個人とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。

 

※介護サービスを長期利用している方に配慮して、同じ世帯のすべての65歳以上の方(サービスを利用していない方を含む。)の利用者負担割合が1割の世帯は、年間446,400円(37,200円×12か月)の上限が設けられて、年間を通しての負担額が増えないようにされています。(3年間の時限措置)

 

3.自己負担割合について

介護保険の自己負担割合は、介護保険の負担割合証に記載されます。

 

自己負担割合が2割負担となる方(下記①②の両方にあてはまる方)

①65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が160万円以上の方

②前年の年金収入と前年のその他の合計所得金額の合計が

 ・同一世帯の65歳以上の人数が1人の場合は280万円以上

 ・同一世帯の65歳以上の人数が2人以上の場合は合計で346万円以上

※合計所得金額:収入から公的年金等控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で基礎控除や人的控除等の控除をする前の所得金額

※その他の合計所得金額:合計所得金額から、年金の雑所得を除いた所得金額

 

4.自己負担割合が3割に!

平成30年8月から、2割負担者のうち現役世帯並みの所得者は3割負担となります。

※具体的な基準は政令で定める。現時点では合計所得金額220万円以上を想定(年金収入だけの場合は344万円に相当)

 

これは急速な少子高齢化の進展、介護を必要とする高齢者の増加による介護保険財政の悪化が予想されることがあります。介護保険制度の持続可能性の確保のために、現役世代並みの所得者を中心に高齢者の負担が今後も増えていくことが予想されます。

 

必要とするサービスを利用したくても、利用できないということが起こってはいけません。

介護の現場を知る社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーとして介護保険制度を理解して本当に必要なサービスを受けることができるように情報提供をしていきたいと思います。