相続税の物納について、平成29年度税制改正で上場株式等の物納がしやすくなりました。
相続税の納税方法から物納できる財産、物納を検討する場合の留意点などを2回に分けて説明致します。
1.相続税の納税方法
相続税は、被相続人が亡くなってから10カ月以内に申告・納付する必要があります。
ただ、亡くなった方の遺産のほとんどが、土地や建物である場合など申告期限までに金銭による納付が困難なケースがあります。
このような場合に相続税のみに認められている納税方法として「物納」があります。
※遺産に多くの金銭等がある場合など、遺族にとって不要な不動産を物納したいと希望しても簡単に認められるわけではありません。
納付方法は次の通り定められています。
2.物納できる財産の種類
物納できる財産は、亡くなった方が所有していた日本国内にある財産で、物納できる財産の種類と順位が定められています。
物納順位の高いものを相続している場合は、下位順位の財産を物納することはできません。
平成29年度の税制改正で物納順位の見直しがなされ、上場株式等が第一順位になり、物納がしやすくなりました。
物納順位とその財産の種類は次のように定められました。
物納順位 | 改正前の物納財産の種類 | 改正後の物納財産の種類 |
第一順位 | 国債、地方債、不動産、船舶 | 国債、地方債、不動産、船舶、上場株式等 |
第二順位 |
社債、株式、 証券投資信託等の受益証券 |
非上場株式等 |
第三順位 | 動産 | 動産 |
※上場株式等とは、株式・社債・証券投資信託又は貸付信託の受益証券・投資証券等で上場されているもの、その他の換価容易なもので一定のもの等をいう。